出会いは友人の紹介
当時私は21歳で千葉県のとある大学に通う女子大生でした。
身長は154センチ、普通体型、顔も美人とまではいかないけれど、可愛いねと言ってくれる人もちらほらいる位の何処にでもいる普通の女の子でした。
友人の紹介という名の飲み会で出会った彼は、身長176センチ、痩せ型、眼鏡をかけるとほんのちょっぴり長谷川博己に似てる優しそうな方でした。
当時交際相手の居なかった私に友人が、｢彼氏の友達でいい人いるから紹介するよ。
今度みんなで飲んでみよう｣と声をかけてくれ、６人程集まり開催された飲み会が出会いの場となりました。
飲み会では普通に楽しく皆でお話するだけで終わり、せっかくだからと全員で番号交換しました。彼とは飲み会終了後の｢今日はお疲れ！｣｢また遊ぼうね｣等の他愛ないメールのやりとりから始まり、そのまま気が付けば毎日数件のメールのやりとりをするようになっていました。
いい人なんだけど好みじゃない
何日かメールのやり取りをし、彼から誘われ２度程デートをしました。
その時は『ららぽーと』等大きなショッピングモールで待ち合わせをし、お昼ご飯を食べた後に雑貨や本等一緒に回れるお店を何件か見たあと、
アイスやケーキ等デザートを食べたら夕方には解散というシンプルなものでした。
彼とは特別趣味が合うとか話が盛り上がるという訳ではなかったのですが、決して無口な訳では無く一緒にお店を見て回ると、見つけた面白い物や好きな物の事などあれこれ話をしてくれたので、
デートしていて楽しいなという気持ちはありました。
優しそうだしとってもいい人だなあと思いましたが、
当時は多少強引にでも引っ張っていってくれるような男らしい男性に憧れを抱いていた事もあり、
｢自分の好みの男性ではないなあ｣とトキメキを感じませんでした。
気楽な気持ちで行ったディズニーランド
出会いから１ヶ月位経った時、彼から｢二人でディズニーランドへ行こう｣と誘われました。
ディズニーランドは何をするにも長時間並ぶ事が多いので、私の中でデートとしてはハードルが高いイメージがありました。
付き合いたての恋人や片思いの相手だとドキドキしたり様々な場面で気を使ったりと、とても緊張してしまうからです。
けれども彼に対しては緊張は無く、
何度かのデートで楽しく過ごせたのでとても気楽な気持ちで一緒に行ってみることにしました。
彼の仕事の都合もあり、お昼に集合しスターライトパスポートで入場しようということになりました。
お昼ご飯はイクスピアリで食べる事になり、私の希望で前から行ってみたかったレインフォレストカフェに行きました。
これまで友人達とディズニーランドに遊びに行く時は、朝から早起きして１日中パーク内で遊ぶのが定番だったので、ゆっくりイクスピアリでご飯を食べたり散歩してから、のんびり入場するというのは新鮮でした。
私達はほぼノープランで入場し、｢せっかくだからビックサンダーマウンテンに乗ろう｣と並んで
みることにしました。
｢一時間以上待つけど元々のんびり入場したし気長に待とう｣と
二人とも気楽な気持ちで並んでいたと思います。
あれっ何だか居心地いいぞ
並び始めて少しすると、彼が｢まだまだ時間かかるね。じゃあしりとりでもするか｣と
冗談のように言いしりとりを始めました。
最初は普通のしりとりから、｢簡単過ぎるからお題しりとりにしよう｣、｢はじめの言葉からすべて
言う暗記しりとりにしよう｣や、
良くあるなぞなぞからお互いにオリジナルで作ったふざけたなぞなぞ等を出し合ったりと様々なゲームで遊びました。
そんな風に遊びながら過ごしていたら、
一時間以上の待ち時間があっという間に過ぎたのです。
気の合う友人何人かと並んでも、あまりに長い時間だと沈黙になったり疲れた表情が見えたりすることもあるのですが、彼との待ち時間は二人とも自然体で楽しいものでした。
ディズニーランドの待ち時間でこんなに充実した気持ちになれたのは初めてだったので、何だか彼と居るとゆったりしてるけど居心地がいいなあと感じはじめました。
その後もゆっくりパレードを見て、のんびり食べ歩きをしながらパーク内を散歩したりと、
友人達と行く時の忙しいディズニーランドのイメージと真逆のデートでした。
ディズニーランドでの滞在時間は約五時間程で、乗ったアトラクションも２つ程でしたが、
ゆったり時間が流れるようなデートは、私に
とても大人で贅沢な時間を過ごしているよ
うな気持ちにさせてくれたのです。
｢彼といるとドキドキしたり緊張したりはそんなに無いけど、一緒にいるととってもほんわかした暖かい気持ちになるなあ｣、｢何も無い、何も出来ない行列に並ぶあの時間を楽しく一緒に過ごせる相手ってすごいことかも！？
もしかしてこういう事が相性いいってことなのかな？｣
等、あの行列のアトラクションを終えてから私の
彼に対する気持ちや見方がどんどん変わりました。
そうやって彼を見ると、何気ない気遣いや優しさがどんどん素敵に見えてきて、
｢この人とならうまくいきそう！｣、
｢もしかして好きかも｣と
思うようになりました。
好きになってからのその後
彼を好きだと思ってからのその後ですが、
ディズニーランドデート後は以前よりメールのやり取りが増えたり、何だかラブラブな雰囲気で
した。
その後も一度ご飯に行き、ディズニーランドの楽しかった話や、今度行ってみたい場所の話等で盛り上がりましたが、
私もまだ好きと伝えるまでには至らず、彼も好意を持ってくれているようでしたが告白はありませんでした。
その後私の試験や彼の仕事先の研修等で中々会えずバタバタしながらも、二人で次のデートの予定を決めようとしていた矢先に彼の他県（関西方面）への転勤が決まりました。
引っ越し準備等忙しい中、転勤してしまう前にまたご飯を食べに行ったのですが、付き合う前から
遠距離恋愛というのも難しいだろうなと自分の気
持ちに蓋をしてしまい彼に想いを伝える事はしませんでした。
彼も同じ様な気持ちだったのかもしれません。
｢なかなか会えなくなるけどまた遊びたいね｣や
｢転勤先の県にも遊びにおいでよ｣
等の話をし解散しました。その後も引っ越しや転勤後等メールのやり取りはしましたが、お互いいい友達の様な仲になり、そのまま会わないまま時が過ぎました。
彼とは交際には至りませんでしたが、あのディズニーランドデート以降、私の男性に対する好みや求めるものが、がらりと変わりました。
あれ以降私の男性の好みは、ゆったりした自然体な気持ちでデートが出来る人、でもくだらない事でふざけ合ったり単純な事でも一緒に楽しめる人
、そして行列や新幹線等、長時間制限された状況でも一緒に居て楽しい人！になりました。
そしておまけの追記ですが、
彼との思い出を振り返ると、楽しかったのは勿論ですが沈黙も気まずさや苦痛を感じませんでした。
それもまた相性がいい相手と思える条件かもしれません。
